散文
夫とちょっと長い旅行に行ってきました。 夫は、ロンドンでサッカー観戦をして、 チューリッヒ近郊の電池工場を見学するため。 私は、ベネチアでゴンドラに乗り、 サントリーニ島の夕日が見るため。 飛行機と夜行列車にボートのバスを乗り継いで、 18日間…
サニービレッジと言う名の老人ホーム 長い長い坂道をタクシーで ドナドナドーナ
地球上でのぼくの存在を確かめようと 太陽にこぶしを掲げてみれば くるりトンボがとまった ぼくのバタフライ効果
「おまえを中心に世の中が回っていると思うな」 でも このごろね 回っているかもしれない と思う 新宿区中井こそがビックバンのみなもと
アナロジーを使えば誰とでも会話を楽しめる と あなたは言う そう 文学も 政治も 愛も あなたにかかると サッカーになる
あふれでる愛の言葉を花束にミンミン啼く一生
女三人片付かず 「これが最後の家族旅行かもね」 と 今年も記録を伸ばす白馬大池
わたしはかもめ じゃあないけれど この命 必要ならば さあ 奪いなさい
湯のみにうっすらくちづけて 間接キッスを試みる 小会議室A
夏めく朝 今月もまた何を生み出すこともなくきた 朱い証
二時間分の駐車料金にもならず アイスコーヒー一杯分のレシートを 破り捨てる
ドンと花火が打ち上げられて あっけなく陥落した ファーストキス
この階段 今日ものぼる とくにのぼりたいわけでもなく どうしてものぼりたくないというわけでもない ただのぼる こう毎日のぼるっていると のぼるというその行動に 無関心になる その階段にむかえば 足がひとりでにのぼり始め わたしを上へ上へと運ぶ 段数を…
会社のロッカーには 母親の匂い付きカーディガン まだまだ甘えたりない29歳
うららかに おてんとさまとおにぎりと 新緑の緑に目をふせれば ほら、スナップショット
20箱に区分されたわたしの29年 冬服 夏服 本 本 本 テーブルの足 台所用品 ワレモノ 住む場所を変える度に 人生は淘汰されていく
ピンセットでつまんで抜いて つまんで抜いて 足の毛 腕の毛 お腹の毛 もう生えてこなくていいのよ お願いよ
たとえば会社でのわたし たとえば母親の前のわたし たとえば一人でうどんを食べるわたし たとえばあなたのわたし どれかな あっち向いてホイ
5泊7日のイタリア旅行が終わり 新婚生活の幕開けて 食卓を買い 新聞を取りはじめたらば 一気に所帯じみた3LDK ベニチアグラスでビールを飲む
土曜の午後 ラジオから聞こえる ドラマ仕立ての 生命保険のコマーシャルに 目頭を熱くしたりするのが一人暮らしってもん
くだらないことばかり考えていた 痛みや苦しみを感じれるときだけ Ah 生きていると思えた 何も始まらない 何も終わらない ずっとずっとこんな毎日が続くんだとおもっていた さくらが咲くまでは
桜見て 花咲かじじいになったつもりでいばる 「ほれ、大盤振る舞いじゃぁ」
しおりには アンパンマンの ばんそうこ プレミア付きだ そういうことだ
まだ照れる 定刻通り 22時 「もしもしだあれ」 うそぶいてみる
人肌の 恋しくなって ほっカイロ 頬に押し付け 夏の残業
涙が枯れたころにやってくる波にさえ乗れずに 一人干からびていく自分と向き合う 眠れない夜 雨の日には植木を外に出すのを忘れない
夜、床につき 蚊がいることに気が付く これほど恐ろしいことはない
さくらをみたときに 「みせたい」と 思った相手を 人はあいしている
今年も 覚えていました テイラー通りのバー 28種のウイスキーをストレートで 歩けないあなたを 今晩は 誰が連れて帰るの 誕生日おめでとう
携帯だと電波が時々途切れたり 通話料金が気になったりで あんまりうまく話せない だから今晩は家電にかけます