階段

この階段
今日ものぼる
とくにのぼりたいわけでもなく
どうしてものぼりたくないというわけでもない
ただのぼる
 
こう毎日のぼるっていると
のぼるというその行動に
無関心になる
 
その階段にむかえば
足がひとりでにのぼり始め
わたしを上へ上へと運ぶ
 
段数を数えてみたことがある
二十九段
ちょっとした数だ
息切れすることなく
一気にのぼりきれる
ぎりぎりの数
 
その一段一段が
わたしの不安を吸収し
弱さを増長させる
 
この階段
わたしの
ショーシャンクの塀
かもしれない
 
のぼらない
もうのぼらない
いつか
そう決心する日はくる
 
いつか
この階段
意味のない
ただの石になる